Thursday 26 January 2012

憧れる生き方。

皆様、モイ。
よしこです。

昨日ご紹介したスオメンリンナ島へのお散歩。
偶然の提案で行くことになったと思っていたらば、実は友人がめあてにしていたカフェ&バーがあったとのこと。

ここです。


ヘルシンキのマーケット広場に一番近いフェリー発着所から歩いてすぐの場所なのですが、夜であることもありなんとも静か。よく考えたらこの周辺には普通に民家があるのでした。こんなカフェ&バーがご近所なんて、羨ましい限り。。。


このカフェの名前は、Jääkellari。そのまま訳すと「氷倉庫」です。むかーしむかしには建物の地下に氷をいれて、巨大冷蔵倉庫として使っていた場所だとのこと。今はこんな感じでステージを作って、不定期にイベントをしています。



テキスタイルの使い方もとっても素敵ですよね。一歩この空間にはいった時点でとっても気に入りました。



友人のお目当てだったこの日のパフォーマンスは、クラウス・ヤルヴィネン(Klaus Järvinen)クラエス・アンデルソン(Claes Andersson)トリオによるジャズ。↑のステージでクラリネットを持つ男性がヤルヴィネンです。アンデルソンはピアノの男性。

お二人の年齢は75歳、74歳。ドラム、ベースを担当する方も同じくらいの年齢層に見えました。
この年齢層ならではのパフォーマンスと言ったら良いでしょうかね。若くては出せない魅力を感じました。「年齢を裏切るエネルギー」とかそういったことでもないのです。年相応に崩れていて、そこに味があるようなイメージです。

フィンランドのスタンダードから王道、ボサノヴァまでカバーした内容はかなり充実。
そもそもリストもあまり決めていないようで、「次は〜、104番にしようか。」「いや、111番がいいよ。」という会話がステージ上で行われていました。

休憩も多めにありましたが、その間にケーキやコーヒー、お酒を楽しんでまたステージに戻る。。。という流れで非常に心地よい緩さがありました。


ヤルヴィネン氏は、シベリウス音楽院でクラリネットを専攻していた本物の音楽家です。
ヘルシンキのアラビア工場にいらしたことのある方なら「ああ。」と思っていただけるかもしれませんが、アラビア工場のお隣にPop & Jazz Konservatorioという音楽学校があります。この創設者も彼。以前は学長もしていました。

彼の音楽と話をゆっくり聴けたというのは、かなりラッキーだったと思います。


そして、この日なにより私の心にずしーんと響いたのはピアニストのアンデルソン氏との出会い。




彼は20年程前に、左翼同盟の党首として大統領選挙に出馬したこともある元政治家です。精神科医としての面も持つ上、詩人、文筆家として本の出版も行っています。

そんな彼が現役の政治家の頃から情熱を傾けていたのが、ジャズピアノ。
選挙戦などで各地を廻る生活が続くと、滞在先のホテルでピアノを弾きストレス解消をしていたという話が残っているくらいです。

まさに多才の人。

いつか彼のピアノを生で聴いてみたいと思っていたので、感激でした。


「ひとつのことをこつこつと続ける」ということはとても大切なことです。
でも、それが「いろいろな分野で才能を開花させる」ことを妨げてはいけないと日頃から思っています。

人によっては、一つのことに取り組むべき環境、姿勢のこともあるでしょう。
一方でアンデルソン氏のように、多方面での活躍全体でバランスが取れるということもあるでしょう。

あくまでも個人的な感覚ですが、日本に居たころよりフィンランドに来てからの方が多方面でのバランスを保って活躍する方を多く見ている気がします。同時に自分も可能な限りそれを許されているような気がします。


アンデルソン氏はその代表格なのですね、私にとって。
まさに憧れる生き方です。

彼のピアノにも、人生のいろいろな局面で得た感情が流れているのでしょうし。
翻っていろいろな生活感覚が、彼の政治に活かされていたのだと信じます。


とてもとても、良い夜でした。

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